振替納税とは?フリーランスの所得税・消費税の支払いを楽にする方法と手続きを税理士がわかりやすく解説

江東区で税理士をしている中明(なかあき)です。

確定申告が終わるとホッとするものですが、実は申告後の「税金の納付」までがワンセットです。
フリーランスや個人事業主の方のなかには、申告に集中するあまり、納付をうっかり忘れてしまうケースも少なくありません。

そんなときに便利なのが振替納税という制度です。
この記事では、振替納税の仕組みやメリット、他の納付方法との違い、手続き方法などを税理士がわかりやすく解説します。

目次

  1. 振替納税とは?
  2. 振替納税のメリット
  3. 納付方法別の比較表
  4. 振替納税の手続き方法
  5. ワンポイントアドバイス|口座の使い分けで経費処理がラクに
  6. 振替納税の注意点
  7. まとめ

1.振替納税とは?

振替納税とは、所得税や消費税などの国税を自分の選んだ口座から自動で引き落とす納付方法です。

申告後に金融機関口座を登録しておけば、税務署や銀行に出向くことなく、自動的に納付が完了します。また、通常の納期限より1か月ほど遅れて引き落とされるため、資金繰りの面でもゆとりが生まれます。

対象となる主な税目は個人事業主の所得税と消費税です。なお、法人では利用できません。

2.振替納税のメリット

1. 納付忘れを防げる

自動引き落としなので、申告後に納付を忘れてしまう心配がありません

2. 銀行や税務署に行かなくてよい

すべて非対面で完結します。外出や納付書の持参は不要となるので楽ちんです。

3. 納付日が1か月ほど遅れる

通常の納期限よりも引き落とし日が遅いため、資金繰りに余裕が生まれます

4. 一度設定すれば翌年以降も継続

毎年提出する必要はなく、基本的に一度手続きを済ませればOKです(口座変更時は再提出が必要です)。

5. 中間納付にも対応

所得税や消費税などの中間納付も、登録口座から自動で引き落とされます。そのため中間納付が発生するような納税額が大きい方は特にメリットがあります

3.納付方法別の比較表

振替納税以外にもさまざまな納付方法がありますが、利便性・手間・確実性の面でどう違うのかをまとめたのが以下の表です。

納付方法納付忘れ防止非対面で完結納付期限の猶予翌年以降も継続利用中間納付にも対応
振替納税◎(約1か月)
インターネットバンキング・ペイジー納付△(手動操作)×(即時納付)△(毎回手続き)△(手動対応)
クレジットカード納付△(手動操作)×(即時納付)△(都度入力)△(手動対応)
金融機関窓口での納付×(忘れやすい)×(来店必要)×(即時納付)△(納付書があれば)△(納付書要)

◎:非常に便利/完全対応、△:一部対応または手動、×:対応していない


4.振替納税の手続き方法

1. 手続き方法は2種類あります

(1)紙の依頼書を提出する場合

税務署に「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」(振替依頼書)を提出します。国税庁のHPから様式をダウンロード可能です。

[国税HP G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付]

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100020.htm

(2)ネットバンキングを使ってe-Taxで手続きする場合

対応する金融機関のインターネットバンキングを利用している場合、e-Tax上で「Web口座振替受付サービス」からオンライン手続きが可能です。

詳しい手順は以下の国税HPに記載があります。とても分かりやすいので、手順通りにやれば簡単に申請ができます。

ちなみに、所得税と消費税はそれぞれ登録する必要があるので、うっかり所得税だけ申請して消費税は忘れた、なんてことが無いように注意しましょう。

[国税HP G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付 振替依頼書オンライン提出の流れ(WEB版)]

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100020.htm#:~:text=%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82-,%E6%93%8D%E4%BD%9C%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB,-%E3%83%BB%E3%80%80%E6%8C%AF%E6%9B%BF%E4%BE%9D%E9%A0%BC

2. 提出期限に注意

税目振替依頼書の提出期限引き落とし日(例年)
所得税原則3月15日まで4月下旬頃
消費税原則3月31日まで4月末頃

期限を過ぎると、その年は振替納税を利用できません。

5.ワンポイントアドバイス|口座の使い分けで経費処理がラクに

振替納税の登録口座は、税目ごとに経費になる・ならないで分けるのがおすすめです。
事業用口座とプライベート口座を分けている場合は、所得税は経費にならないためプライベート口座消費税は経費計上できるため事業用口座を指定しておけば、仕訳もスッキリし、会計処理のミスも防げます。

なお、事業用口座とプライベート口座を分けることは、記帳を簡単にするうえでとてもおすすめです。
事業用口座を使うメリットや、口座を分けない場合の注意点については、こちらのコラムで詳しく解説しています。

[フリーランス・個人事業主] 開業したら、すぐに事業用の口座とクレジットカードをつくろう!

6.振替納税の注意点

1. 残高不足に注意

引き落とし日に口座の残高が不足していると、未納扱いになります。延滞税も発生するため、事前に残高確認を忘れないようにしましょう。

2. 口座変更時は再提出が必要

登録口座を変更する場合は、新たに口座振替依頼書を提出する必要があります。

7.まとめ|納税も自動化して安心を手に入れよう

振替納税は、手間を減らしつつ確実に納税ができる非常に便利な制度です。
特に、事業に集中したいフリーランスや個人事業主にとって、申告後の納税を自動化することは、安心感と業務効率の両方を得られる選択肢といえます。

インターネットバンキングを活用すれば、e-Tax上で手続きも完結でき、紙の届け出も不要です。

納税の仕組みを整えて、余計な手間や心配を減らしましょう。
清澄会計事務所では、フリーランスや開業間もない方向けに、申告から納付、資金繰りまで幅広くサポートしています。お気軽にご相談ください。

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