【個人事業主・フリーランス】法人化すべき?メリット・デメリットと判断基準を税理士が解説

こんにちは。江東区で税理士をしている中明(なかあき)です。

個人事業主で売上が伸びてきた方から「そろそろ法人化したほうがよいのでは?」という相談を頂くことが多くあります。売上が1,000万円を超えたあたりで特に悩んでいる方が多いですが、法人化はしっかりメリット・デメリットを考えて決めないと、後悔するケースも多いです。今回は、法人化するとどんなメリットやデメリットがあるかをわかりやすく解説します。

目次

1. 法人化のメリット3点

 ①信用度が高くなる

 ②節税対策しやすい

 ③有限責任になる

2. 法人化のデメリット3点

 ①設立費用や専門家費用がかかる

 ②赤字でも税金がかかる

 ③社会保険に加入する必要がある

3. その他の注意点

4. まとめ

1. 法人化のメリット3点

法人化には様々なメリットがありますが、特に大きなメリットとしては以下の3つがあります。

①信用度が高くなる

②節税対策しやすくなる

③有限責任になる

それぞれ詳しく解説していきます。

①信用度が高くなる

個人事業主より法人の方が信用度が高まる可能性があるため、取引先の増加や資金調達の容易さといった面でメリットがあります。企業によっては与信管理の観点から個人事業主とは取引しない場合もあります。そのため、法人化することでそのような企業とも取引できるようになり、事業を拡大できるというメリットがあります。

また人材採用の点でも、個人事業主より法人の方が安心感を持たれやすいため採用しやすいというメリットがあります。

②節税対策しやすい

・所得税より法人税が安くなる場合がある

個人事業主が法人化することで、所得税よりも法人税の方が安くなる場合があります。個人の所得税は累進課税といい、所得が増えれば増えるほど税率が上がり最大では45%となります。一方で法人税は基本的に利益の額に関係なく一定です。そのため、利益が大きくなればなるほど、法人税の方が安くなる可能性が高くなります。実際には役員報酬や社会保険料等を考慮する必要がありますので、自分のケースに当てはめてシミュレーションすることが大事です。

当事務所では、売上や役員報酬などを入力すると、個人事業主と法人化した場合の税金・社会保険・手取りの違いを簡単に比較できる「法人化シミュレーター」を無料公開しています。

・役員報酬が経費になる

個人事業主の場合は、売上から原価や経費を除いた個人の事業所得がそのまま自分の所得になるため、自分の生活費や給与(事業主貸)として取り分けた金額はもちろん経費にはなりません。

一方で法人の場合は、役員報酬を経費にすることができます。経費が増えることで法人の所得が減少し税金が減るため、節税効果があるといえます。

役員報酬の損金算入のルールについては、こちらの記事で解説しています。

・赤字を10年間繰り越せる

個人事業主でも青色申告をしていれば赤字を3年間繰り越すことができますが、法人化すればこれを10年間繰り越せるようになります。繰り越せる年数が長いほど、赤字と相殺できる可能性が高いため節税効果が高くなります。

[国税HP 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除]

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

③有限責任になる

個人事業主は無限責任であり、事業上の責任をすべて負う必要があります。一方で法人は個人の保証のある借り入れ等を除くと出資金の範囲での有限責任となるため、すべての責任を負う必要はありません。そのため、法人化によって個人事業主の時よりリスクを下げることができます。

2. 法人化のデメリット3点

ここまで法人化のメリットについて解説してきましたが、法人化にはデメリットもあります。その中でも大きなデメリットとしては以下の3つが挙げられます。

①設立費用や専門家費用がかかる

②赤字でも税金がかかる

③社会保険に加入する必要がある

①設立費用や専門家費用がかかる

法人を設立する場合には設立費用が発生します。具体的には株式会社の場合には登記費用15万円、定款認証手数料5万2千円、定款認証印紙代4万円(※電子定款の場合0円)の24万2千円がかかり、さらに登記を司法書士等の専門家に依頼した場合には専門家報酬も上乗せで発生します。株式会社の他に合同会社という形態もありますが、こちらの場合でも約10万円の設立費用が発生します。

また法人税の確定申告は個人の確定申告に比べて難易度が高いため、法人化後は税理士へ依頼される方が多いです。税理士へ依頼する場合、自分で確定申告していた個人事業主時代より費用が増えることになります。

②赤字でも税金がかかる

個人事業主の場合は赤字だと税金の支払いは基本的に発生しません。しかし法人の場合は赤字の場合でも法人住民税の均等割りの支払い(7万円)が発生します。つまり法人の場合は、会社の維持のために毎年最低7万円の費用が発生することになります。

③社会保険に加入する必要がある

個人事業主の場合は基本的に社会保険の加入は任意となりますが、法人の場合はたとえ社長一人の会社であったとしても社会保険の加入は必須となります。そのため、法人化すると役員報酬の設定次第で社会保険料の負担が増加する可能性があります。

ワンポイント:扶養家族がいる場合は、社会保険が有利になることも

社会保険に加入すると一定の要件を満たす家族を扶養に入れられる場合があるので、国民健康保険と比べてトータルの負担が下がるケースもあります。扶養家族がいる方は、法人化の検討材料の1つとして押さえておくとよいでしょう。

3. その他の注意点

法人化の際に、事業の一部をそのまま個人側に残しておいてもよいかとご質問を受けることがありますが、この場合は注意が必要です。

個人事業主と法人で同じ事業をやっている場合、個人と法人の間での利益調整を疑われてしまう可能性があります。例えば、個人では不動産、法人ではコンサルティング業を行うといった場合であれば基本的に問題はないと思いますが、個人と法人でどちらも同じコンサルティング業を行っている場合、意図的に所得を分散させていると取られる場合もあります。

法人化して個人事業主の時と同じ事業をやる場合は、法人化した後に個人事業は廃業する、個人とは別の事業を法人で行うなど、ビジネスをしっかり整理しておきましょう。

4. まとめ

法人化には信用力アップや節税対策がしやすくなるといったメリットがある一方で、法人の設立や運営に個人事業主時代は不要だったコストが発生します。法人化に際しては、そのメリットとデメリットをしっかりと比較しましょう。特に節税対策や追加コスト等によって個人事業主の場合と法人の場合で結局どれだけ金額が異なるかのシミュレーションについては専門家に依頼してみるとよいかと思います。

まずはお話だけでも大丈夫です

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