家族を従業員や役員にするメリットと注意点について分かりやすく解説!②法人編

こんにちは。江東区で税理士をしている中明です。

起業にあたり、配偶者や子供を役員や従業員にすることを検討される方も多いかと思います。家族を役員や従業員にすると給与を経費にできたり、採用が難しい中小企業において大きな戦力になってもらったりすることができます。しかしながら家族を雇うケースでは、通常の従業員を雇うケースとは異なる点や注意すべきいくつかあります。

そこで、①個人事業主編と②法人編の2回にわけて、それぞれのケースで家族を役員や従業員にするメリットや注意点をわかりやすく解説していきます。

今回は②法人編として、法人で家族を雇う場合について解説します。

目次

1. 法人の場合

2. 法人が家族を従業員として雇う場合のメリット

3. 法人が家族を従業員として雇う場合の注意点

4. 法人が家族を役員とする場合のメリット

5. 法人が家族を役員とする場合の注意点

6. その他の注意点・デメリット

7. 家族への役員報酬はいくらまで?

8. 役員と従業員どっちがいいの?

9. まとめ

1. 法人の場合

法人の場合は、家族を従業員として雇うか、もしくは役員にすることが考えられます。

どちらの場合も役員報酬や給与を経費に算入することで節税効果を期待できるのは、個人事業主の場合と同様です。

ここでは、この節税効果以外のそれぞれのメリットについてみていきましょう。

2. 法人が家族を従業員として雇う場合のメリット

家族を従業員として雇い給与を支払った場合でも、個人事業主の「青色事業専従者」と異なり、配偶者控除を受けることができます

そのため、社保や住民税も考慮して、配偶者の給与を月8万円程度で設定されるケースも多く見られます。

3. 法人が家族を従業員として雇う場合の注意点

①勤務実態の記録をつける

全く勤務実態がないと判断されてしまうと、家族に払った給与について損金算入できなくなってしまう可能性があります。業務内容を決めて、日頃から勤務実態に関する書類を残しておくようにしましょう。

②みなし役員に注意

家族を従業員として雇っていても、経営に関与している等と役員と同じような扱いをしていると「みなし役員」と認定される可能性があります。この「みなし役員」と判断されてしまうと、役員として登記をしていない場合でも税法上では役員として扱われます。「みなし役員」になると、給与や賞与の損金算入が認められない恐れもありますので注意しましょう。

4. 法人が家族を役員とする場合のメリット

①対外的に役員として対応できる

営業や銀行等との対応もお願いする場合、単なる従業員ではなく、役員の方が交渉等をスムーズに行える可能性があります。

②経営に参加してもらえる

また、役員の場合は経営に参加するため決算書なども見ることになります。経営などについては身内の方が相談しやすく役員として参加してもらうことで安心感があるかもしれません。

5. 法人が家族を役員とする場合の注意点

①役員報酬は一度決めるとすぐには変えられない。

役員報酬を経費にできる要件として定期同額給与の決まりがあります。詳細はこちらで解説していますが、従業員の給与と違っていつでも金額を自由に変えられない点には注意が必要です。

②消費税の特定期間にも注意!

特に法人成りに際して家族を役員にする場合など、初年度から売上が見込める場合は、消費税の納税義務についても注意が必要です。

詳細はこちらのコラムで解説していますが、初年度の役員報酬額(本人+配偶者)によっては、消費税の課税事業者の判定にも影響する可能性があります。

③勤務実態の記録や取締役会への参加が必要

ほとんど役員としての勤務実態がない場合、役員報酬が勤務実態と比較して高すぎるとして否認されてしまう場合があります。定期的に取締役会を開いており、会社の重要な意思決定に参加していた記録を残すため、議事録等を保管しておくようにしましょう。

6. その他の注意点・デメリット

上記の他に、以下のような注意点・デメリットもあります。

①謄本に氏名や住所が開示されてしまう。

②外部との訴訟の際には、役員となった家族にも経営者責任が発生する。

7. 家族への役員報酬はいくらまで?

具体的にいくらまでなら認められるという決まりはありません。職務内容や勤務実態、会社の規模、同業の会社の平均値などによって総合的に判断されます。

例えば、経理のみを行う家族に月100万円の報酬を支給している場合は、通常の経理担当者の給与相場より明らかに高額と判断されてしまう可能性が高いと思います。

8. 役員と従業員どっちがいいの?

一概には言えませんが、役員の方が報酬や退職金の額を自由に決めやすい傾向にあります。一方で役員の場合は、従業員と異なり一度報酬額と決めてしまうとすぐに変えたりすることができなくなるので注意が必要です。また外部との訴訟の際には家族にも経営責任が発生してしまうといった点にも、滅多に起きることではありませんが留意が必要です。

上記のような違いはありますが、前述のみなし役員の認定などもありますので、最終的には家族に期待する役割に合った方を選ぶとよいでしょう。

9. まとめ|迷ったらまずは相談から

法人で家族を雇う場合、役員として迎える方法従業員として雇用する方法があります。どちらも給与を経費にできるため節税効果が見込めますが、以下の点に注意が必要です。

役員報酬の制約:役員にすることで自由に報酬を設定しやすくなりますが、期中で変更が原則できない、登記簿謄本に名前が載るなどの制約もあります。

勤務実態の証明:役員にする場合は、取締役会議事録や業務記録など、実際に経営に関与していることを説明できる資料を残しておきましょう。

みなし役員のリスク:従業員として雇う場合でも、経営への影響力が強いと「みなし役員」と判断されることがあり、役員給与として扱われる可能性があります。

役員報酬の決め方や、家族を雇う場合の税務上の扱いなど、不安な点があれば一度税理士に相談してみるのがおすすめです。早めに専門家に相談しておくことで、将来の思わぬトラブルや税務上のリスクを防ぐことができます

忙しい経営者の方に代わって、経理や税務の「安心」を提供します。
清澄会計事務所では、中小企業や個人事業主の方を中心に、日々の税務や会計業務をサポートしています。
お気軽にご連絡ください。

Investment Concept Business Finance  - Nature_Design / Pixabay

お気軽にご相談ください

30代の若手税理士がわかりやすく親身に対応いたします。
LINEからのご連絡も受け付けております。

LINE
弊事務所のプライバシーポリシーはこちらからご確認いただけます。