家族を従業員や役員にするメリットと注意点について分かりやすく解説!①個人事業主編
こんにちは。江東区で税理士をしている中明です。
起業にあたり、配偶者や子供を役員や従業員にすることを検討される方も多いかと思います。家族を役員や従業員にすると、給与を経費にできたり、採用が難しい中小企業において大きな戦力になってもらったりできます。しかしながら家族を雇うケースでは、通常の従業員を雇うケースとは異なる点や注意すべきいくつかあります。
そこで、①個人事業主編と②法人編の2回にわけて、それぞれのケースで家族を役員や従業員にするメリットや注意点をわかりやすく解説していきます。
今回は①個人事業主編として、個人事業主として家族を雇う場合について解説します。
目次
1. 個人事業主の場合
個人事業主の場合は、家族を従業員として雇うことが考えられます。
2. 個人事業主が家族を雇う場合のメリット
最大のメリットは、家族に支払った給与を必要経費に計上できるため所得税や住民税の節税効果が見込めることです。また、所得を得た家族が資産形成を行うことで、将来的には相続税や贈与税の負担軽減も期待できます。
青色申告をしている場合は、「青色申告専従者給与」として支払った給与を必要経費にすることができます。また、青色申告でなく白色申告している場合は上記のように給与を必要経費にすることはできませんが、代わりに「事業専従者控除」を受けることができます。
3. 個人事業主が家族を雇う場合の注意点
前述の通り「青色事業専従者給与」として必要経費に算入することで節税効果を期待できますが、必要経費に算入するためには、①一定の要件を満たすことと②「青色事業専従者給与に関する届出書」を届け出ておくこと③労務の対価として相当であると認められる金額であることの3つのポイントを満たすことが必要です。
①一定の要件を満たす
青色事業専従者に該当するには、以下の3つの要件をすべて満たさなければなりません。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
つまり副業的にちょっとだけ手伝っている場合は認められないということです。
②「青色事業専従者給与に関する届出書」を届け出ておく
「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。提出期限は青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。忘れずに届け出ておきましょう。
詳細は、国税庁のウェブサイトをご参照ください。
[国税HP 青色事業専従者給与に関する届出手続]
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm
③労務の対価として相当であると認められる金額であること
他の従業員の給与や類似の業種の専従者給与と比較して、適正な水準である必要があります。一般的な給与の水準を大きく上回る給与は認められない可能性が高いということです。
なお過大と判断された部分は必要経費にはなりません。
4. その他の注意点・デメリット
青色事業専従者は配偶者控除や扶養控除を受けられないというデメリットもあります。そのため、場合によっては、こちらの控除を受けた方が税額を抑えることができる可能性があります。節税効果等を考える際はこちらの影響も考慮するようにしましょう。
青色事業専従者給与のデメリットや注意点については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
5. まとめ|迷ったらまずは相談から
個人事業主が家族を雇うことで節税につながるメリットがありますが、専従者給与を経費にするには届出や要件の確認が必要です。また、扶養控除が受けられなくなるなどのデメリットもあるため、制度の仕組みを正しく理解したうえで判断することが大切です。
今回は個人事業主が家族を雇う場合について解説しました。次回は②法人編として、法人で家族を雇う場合について解説します。
役員報酬の決め方や、家族を雇う場合の税務上の扱いなど、不安な点があれば一度税理士に相談してみるのがおすすめです。早めに専門家に相談しておくことで、将来の思わぬトラブルや税務上のリスクを防ぐことができます。
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