株式会社と合同会社、つくるならどっちがいい?メリットとデメリットを分かりやすく解説!

こんにちは。江東区で税理士をしている中明です。

事業が順調なのでそろそろ法人化しようと思ったけれど、株式会社と合同会社のどっちをつくったほうが良いかよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。今回はそんな方向けに、株式会社と合同会社のメリットとデメリットについて分かりやすく解説していきます。

なお、こちらの記事は1人法人やミニマム法人向けになっています。また法人化を検討されている方向けに、こちらに法人化のメリット等をまとめています。

目次

①株式会社と合同会社の違いは?

②知名度と肩書

③資金調達手段

④設立コスト

⑤維持コスト

⑥手続きの多さ

⑦会社運営

⑧株式会社と合同会社、結局どっちがいい?

⑨まとめ

株式会社と合同会社の違いは?

株式会社と合同会社はいずれも会社形態の種類です。そのほかにもいくつか会社形態はありますが、通常は株式会社もしくは合同会社を選ぶためここでは省略します。

ざっくりと株式会社と合同会社の説明をすると、株式会社は出資者である株主と法人の経営者の役割が切り離されていますが、合同会社は出資者が会社の経営者と同一です。

なお1人法人等では株式会社でも出資者と経営者が同一になります。その他、肩書やコスト、手続き等に違いがあります。

それでは知名度やコスト、手続きなどの面から、株式会社と合同会社のどっちが良いか見ていきましょう。

知名度と肩書(株式会社:〇、合同会社:△)

株式会社の方が一般的に知名度は高いです。ただし、大手の外資系企業(AppleやAmazon等)でも合同会社は多くありますので、知名度だけで株式会社を選ぶほどではないと思います。

なお肩書は、株式会社は代表取締役、合同会社は代表社員になります。「代表取締役」の肩書がよい方は株式会社を選ぶとよいでしょう。

資金調達手段(株式会社:〇、合同会社:△)

株式会社は株式で資金調達が可能ですが、合同会社はできません。そのため合同会社の場合は借入や補助金が主な資金調達手段となります。

ただし、株式会社であってもベンチャー等でない限り株式による資金調達はほとんど行わないので、資金調達は合同会社と同じく借入がメインとなります。よって実態としては資金調達手段に大きな違いはないと言えます。

ベンチャーで上場を目指す場合などは株式会社を選ぶとよいでしょう。

設立コスト(株式会社:△、合同会社:〇)

合同会社の設立コストは約6万円と、株式会社の半分以下です。

合同会社は定款の認証が不要で、登録免許税も株式会社に比べて安くなることが多いためです。収入印紙代(4万円)については、株式会社も合同会社も電子定款であればかかりません。

設立コストについては合同会社の方が安いと言えるでしょう。

維持コスト(株式会社:△、合同会社:〇)

株式会社では役員の任期は通常2年、最長でも10年と決まっています。役員の任期が終了すると同じ人を再任する場合でも登録免許税が1万円かかります。(資本金1億円以上は3万円)

合同会社では役員の任期がないため、上記のコストは発生しません。

手続きの多さ(株式会社:△、合同会社:〇)

<決算公告義務>

決算公告とは、毎年の決算を官報などで公開することです。

合同会社には決算公告義務はありませんが、株式会社は毎年決算公告する必要があります。

<役員の任期>

株式会社では役員の任期は通常2年、最長でも10年と決まっています。この任期が満了となったときには、同じ人を再任する場合でも登記する必要があります。合同会社の場合は役員の任期はありませんので、登記の手続きが不要となり手間が省けます。

1人法人やミニマム法人等では役員の変更等は通常ないので、合同会社の方が再任の登記などの手間が省けメリットがあると言えるでしょう。

会社運営(複数人かつトラブル時) (株式会社:〇、合同会社:△)

合同会社はすべての出資者が対等に決定権を持つため、例えば2人で会社を運営していて意見が対立した場合には事業がストップしてしまいます。

株式会社の場合は2人で会社を運営していても、1人が過半数(51%超)を持っていれば理論上は事業運営に問題はありません。

なお、株式会社の場合も2人が同じ比率を持っていた場合(50%:50%)には合同会社の場合と同じ状況になります。

株式会社と合同会社、結局どっちがいい?

株式会社と合同会社のメリット・デメリットをまとめると以下の通りです。

株式会社の方が知名度や肩書でメリットがありますが、合同会社の方がコストや手続き面でメリットがあります。特に肩書等にこだわりがない1人会社の場合は、コストや手続きが少ない合同会社がおすすめといえるでしょう。

項目株式会社合同会社
知名度と肩書
肩書は「代表取締役」

肩書は「代表社員」
資金調達手段
株式発行も可能

借入や補助金
設立コスト
約20万

約6万円
維持コスト
手続きの多さ
役員の任期、決算公告義務あり
会社運営(複数人かつトラブル時)

まとめ

・特に肩書等にこだわりがない1人会社の場合は、コストや手続きが少ない合同会社がおすすめ

・合同会社→株式会社の変更も可能なので、迷っている場合はまず合同会社から始めるのもあり

今回は、株式会社と合同会社のメリットとデメリットについて解説しました。清澄会計事務所では、フリーランスや中小企業向けのお役立ち情報を定期的に発信しております。税金や融資、補助金等でお悩みの方はお気軽にご相談ください。