中小企業や個人事業主なら小規模企業共済がおすすめ!税理士がメリットとデメリットをわかりやすく解説

こんにちは。江東区で税理士をしている中明です。

中小企業や個人事業主で事業をやっていると、「小規模企業共済」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。節税効果があるけど元本割れのリスクがあるとも聞くので、結局入ったほうがいいのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。今回はそんな人向けに小規模企業共済のメリットとデメリットをわかりやすく解説していきます。

目次

1.そもそも小規模企業共済とは?

2.メリット

 ①掛金全額が経費になる

 ②受取時は退職金扱いになる

 ③貸付制度を利用できる

3.デメリット

 ①加入期間が20年未満だと元本割れする

 ②加入期間が12ヶ月未満で任意解約すると掛け捨てになる

 ③加入できる人と掛金額

4.まとめ

1.そもそも小規模企業共済とは?

中小企業の経営者や個人事業主などのための退職金制度です。

個人事業主などには、サラリーマンと違って退職金がないので、将来に向けて自分で積み立てていく必要があります。この制度なら掛金の全額を経費にしながら、老後資金を積み立てていくことができます。月1,000円から積み立てられるので、無理のない範囲で自由に積み立てることができます。

よく比較される制度にiDeCoがあるので、こちらとも比較していきます。

[小規模企業共済のHP]

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/

2.メリット

まずはメリットを解説します。小規模企業共済には、掛金が経費になる、受取時に退職金扱いになるといった多くのメリットがあります。

①掛金全額が経費になる

月々の掛金を全額所得控除できます。

これは「小規模企業共済掛金控除」といい、確定申告のときに所得から引き算できます。

ちなみに「小規模企業共済掛金控除」には今回の小規模企業共済の掛金以外にiDeCo (個人型確定拠出年金)の掛金も対象となります。

掛金が大きい方が節税効果は高いですが、急な出費に備えて無理のない掛金額にしておくのがおすすめです。掛金は月1,000円~から設定できます。

途中で解約することもできますが、元本割れなどのリスクがあります。(デメリットで解説)

②受取時は退職金扱いになる

積み立てた共済金を受け取るときは、退職金扱いになるので税金的に優遇されます。

また共済金の受け取り方も、一括と分割で選ぶことができます。

なお一括で受け取る場合は退職所得ですが、分割で受け取る場合は公的年金の雑所得扱いになります。

③貸付制度を利用できる

掛金の範囲内で貸付制度がありますので、もしもの時に利用できます。

ちなみにiDeCoには貸付制度はありません。

3.デメリット

デメリットは主に短期で解約した場合などの元本割れです。

退職金として積み立てていく制度なので、長期的な視野で考える必要があります。逆に短期でお金が必要になることが見えている場合は掛け金を小さくしておくか、別の制度を利用することも考えた方がいいでしょう。

①加入期間が20年未満だと元本割れする

20年未満で任意解約をした場合には元本割れします。

自己都合により任意解約した場合に元本割れが起きますが、その他役員の病気やけが等、理由によっては元本割れしない場合もあります。

②加入期間が12ヶ月未満で任意解約すると掛け捨てになる

加入期間が12か月未満で任意解約をすると解約手当金が出ません。短期で解約することは避けましょう。

③加入できる人と掛金額

加入できる人

加入できる人は以下の通りです。中小企業の経営者や個人事業主が加入できます。副業の方は加入できません。

・常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主及び会社役員

・上記個人事業主が営む事業の経営に携わる個人(共同経営者)

・事業に従事する組合員が20人以下の企業組合の役員

・常時使用する従業員が20人以下の協業組合の役員

・常時使用する従業員が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員

・常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

掛金

掛金月額は1,000円~70,000円までの範囲内で自由に選べます。ちなみに半年払や年払もできます。

・掛金は増額・減額ができます。(減額には一定の要件が必要です。)

4.まとめ

小規模企業共済は掛金が全額経費になり節税メリットもある退職金制度です。デメリットも短い期間で解約した場合の元本割れリスク等しかなく、メリットが多い制度です。

無理のない範囲で将来に向けてお金を積み立てておきたい、という方は検討してみてはいかがでしょうか。