アプリ・システム開発で人気の「ものづくり補助金」のデジタル枠についてわかりやすく解説
こんにちは。公認会計士・税理士の中明です。今回は人気の補助金「ものづくり補助金」のデジタル枠について解説します。アプリ・システム開発等にも利用できるこの補助金ですが、申請にあたって、通常枠やデジタル枠など色々あってどの申請枠で申請すればよいのかよくわからない、といったお悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回は、そんなデジタル枠の特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
そもそも「ものづくり補助金」って何?という方にはこちらのコラムで解説しております。
目次
①デジタル枠とは?
ものづくり補助金には以下の5つの申請枠があり、それぞれ補助金額や補助率が異なります。
・通常枠
・デジタル枠・・・・・・・・・・DXに資する革新的な製品開発等
・回復型賃上げ・雇用拡大枠・・・業況が厳しいながら賃上げ等に取り組む
・グリーン枠・・・・・・・・・・温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品開発等
・グローバル市場開拓枠・・・・・海外事業の拡大・強化等を目的とした製品開発等
デジタル枠は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援」とされており、文字通りデジタル技術を活用した設備投資等に利用できる申請枠となっています。
なお、単にデジタル製品の導入等にとどまり、既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの等は該当しませんので注意が必要です。
例えば以下のようなものはデジタル枠には該当しません。
例:帳票の電子保存システム・デジタルスキャナ・電子契約書サービス・医療用画像診断機器の導入等、電子書籍・写真等のアルバム・動画編集サービスの開発等
ここからは、通常枠との違いをメリット・デメリットで解説していきます。
②メリット
通常枠より補助率が高い
デジタル枠の補助率は一律で2/3となっており、通常枠が1/3,(小規模事業者は2/3)となっているため、補助率の面でメリットがあります。とくにアプリ・システム開発の場合は、設備投資の金額も大きくなるため、補助率の違いは大きなメリットといえるでしょう。
なお、補助金額については通常枠と違いはありません。
③デメリット
・要件が多くなる
まず、通常枠より要件が多くなります。デジタル枠の申請要件は、通常枠に追加で以下の3つの要件を満たす必要があります。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/14th/gaiyou_14_20230119.pdf
・申請に必要な書類が多くなる
ものづくり補助金の審査上には加点項目というものがあり、こちらを取ると、審査上加点がされ、採択されやすくなるという仕組みになっています。そのため、採択率を上げるためには、この加点項目を少なくとも他の申請者と同じくらいは取っておくことが必要になると考えられます。
ここで、通常枠が最大6項目の加点であるのに対して、デジタル枠では12項目の加点が可能となっているため、デジタル枠で申請する方たちは平均して通常枠より多く加点項目を取得していると考えられます。よって、通常枠で申請する場合よりも多く取っておく必要があり、準備に時間がかかることになります。
まとめると、以下の表のようになります。
なお、ここでは、「補助上限額引上の特例」については考慮していません。
④どのような人がデジタル枠に向いている?
まず、デジタル枠は、デジタル技術を活用した設備投資が対象となっているため、そのような投資を考えている人にお勧めです。逆にそのような投資ではない場合、デジタル枠での申請は難しいでしょう。
その上で、補助率はデジタル枠が2/3で通常枠が1/3(小規模事業者は2/3)となっているため、従業員数がある程度いて小規模事業者に該当しない場合は、補助率の高いデジタル枠の方を狙ってみるのもよいかもしれません。
⑤採択率に違いはあるのか?
前回(13次)の申請枠毎の採択結果は、以下の通りとなっています。
申請枠毎の採択率には大きな違いはないと言えるでしょう。
⑥14次からのデジタル枠の変更点について
再審査制度がなくなった
以前までのデジタル枠の申請では、デジタル枠で不採択だった場合、通常枠で再審査されるという制度がありました。しかしながら、14次の公募要領上ではこちらの記載がなくなっているため、再審査制度はなくなったと考えられます。
加点項目が変わった
加点項目が14次から変更となりました。加点に必要となる書類が前回とは変わっておりますので、最新の公募要領をしっかりと確認するようにしましょう。
⑦まとめ
・デジタル枠のメリットは、補助率が2/3となっており、通常枠(1/3(小規模事業者は2/3))と比べて補助率が高い点
・デメリットとしては、申請要件が通常枠より多く、また申請に必要な書類が多くなる点
・前回から再審査制度がなくなり、また加点項目の提出書類が変わっている。
今回はデジタル枠について解説しました。上記の通り、デジタル枠の申請にあたっては通常枠と比べて要件や必要書類が多くありますので、不備が出てしまう可能性が高くなります。しっかりと公募要領等を読み込んで申請するようにしましょう。
清澄会計事務所ではものづくり補助金の無料相談を実施しております。申請にあたって話を聞いてみたい、よくわからないので不安といった方はぜひ一度お気軽にご相談ください。