利益が出ているのにお金が貯まらない…。その原因を税理士が分かりやすく解説
こんにちは。江東区で税理士をしている中明です。
経営者の方から、「先生、うちの会社は利益が出ているのに、なぜかお金が貯まらないんです…」というご相談を受けることがあります。利益が出ている会社なら、普通はお金がどんどん貯まっていくと思うかもしれませんが、実はそうとは限りません。この記事では、その理由について解説していきます。
目次
1.根本的な原因とは?
利益とは、収益から費用(経費)を差し引いた残りの額のことです。利益が出ているのにお金が貯まらない原因は、経費にならない支払いが発生していることです。よくあるケースを具体的に見ていきましょう。
2.借入の返済額が大きい
最もよくあるケースは、借入の返済額が大きい場合です。借入の返済は経費にはならないため、利益には影響しませんが、毎月現金預金は減っていきます。借入額が大きい会社ほど、毎月の返済額も大きくなります。このような会社では、利益が出ていても借入返済の負担によってお金が減っていくという現象が起こります。
3.大きな設備投資や固定資産の取得を行った
次に、大きな設備投資や固定資産の取得を行った場合です。例えば、1,000万円の車を購入したとします。もちろん、車を購入したことでお金は出ていきますが、会計上はこの1,000万円がそのまま経費になるわけではありません。減価償却という考え方によって一定期間にわたって少しずつ経費として計上されます。たとえば5年で減価償却する場合、車を買った年に1,000万円現預金は減りますが、会計上は200円しか経費になりません。
このため、支払いは発生しているのに経費は少しずつしか計上されず、結果的に利益が出ているのにお金がないという現象が起こりやすくなります。
4.在庫が多く残っている
在庫の仕入代金は購入時に発生しますが、在庫は売れるまで経費にはなりません。そのため、例えば決算期末付近で多額の仕入れを行い、ほとんどが売れずに期末に残っている場合、仕入で支払は発生しているの経費にはなっていないという状況が起こりやすくなります。
5.事業に関係のないプライベートの出費が多い
個人事業主や1人会社によく見られるケースです。プライベートの出費が多いと、当然ながら経費にはなりません。そのため、利益がいくら出ていても、それを上回るプライベートの出費があればお金は貯まりません。個人事業主の方で、なぜ利益が出ているのにお金が貯まらないのか疑問に思う方は、一度ご自身の出費を精査してみるとよいでしょう。
6.資金繰り表をつくろう
ここまで利益が出ているのにお金が貯まらないときによくある理由について解説しました。
理由の多くは、経費にならない支払が発生していることなので、決算書だけを見ていても原因は分かりません。利益や税金についてはしっかり管理できている経営者でも、財務面(お金の出入り)については意外と見落としがちです。財務面もしっかりと管理していないと、黒字倒産が起こる可能性もあります。
借入額が大きい場合や大きな設備投資を行った場合などは資金繰り表を作るなど、しっかりとお金の出入りも管理するようにしましょう。
資金繰り表についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。
7.まとめ
利益がでているのにお金が貯まらないときによくある理由は、経費にならない支出が発生していること
大きな借入や設備投資を行った場合は、資金繰り表を作ってお金の出入りもしっかり管理するとよい
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