【フリーランス・個人事業主】パソコンなどを買った時の「経費と固定資産」のルールを税理士が解説

こんにちは。江東区で税理士をしている中明(なかあき)です。

江東区は、テレワークを中心としたクリエイティブ職やIT関連の方が多く、フリーランスとして活動される方も非常に多いエリアです。

当事務所でも、デザイナーやエンジニアのお客様からこのようなご質問をよくいただきます。

「仕事用にパソコンを買ったのですが、これはどのように処理(記帳)すればいいですか?」

実は、高額な物品を購入した場合は「固定資産」という扱いになり、通常の消耗品とは異なる会計処理が必要になるケースがあります。

そこで本記事では、フリーランスや小規模事業者が押さえておくべき固定資産のルール(10万円・30万円・減価償却)について、ポイントを絞って解説します。

目次

そもそも「固定資産」とは?

① まずは「10万円の基準」を知る

② 青色申告なら「30万円」まで即時経費化が可能

③ 30万円以上は「減価償却」(分割で経費計上)

よくある質問:「一括償却資産」は利用すべき?

まとめ|押さえておきたい3つのポイント

そもそも「固定資産」とは?

事業のために長期間使用する物品は「固定資産」に該当します。 具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • パソコン、タブレット
  • カメラ、撮影機材
  • 専用の工具、什器など

これらは「固定資産」となると、購入した年に全額を経費計上できない(数年に分けて経費にする)場合があるため、金額によるルールの違いを理解しておくことが重要です。

① まずは「10万円の基準」を知る

もっとも基本的なルールです。 1つあたり10万円未満で購入した物品は、その年に全額経費にして問題ありません。 (一般的に「消耗品費」などの勘定科目で処理します)

マウスやキーボードなどの周辺機器、文具やオフィス家具などは、多くがこの範囲に含まれます。

一方で、10万円以上になると「減価償却(げんかしょうきゃく)」という手続きが必要となり、原則として数年に分けて経費計上することになります。

② 青色申告なら「30万円」まで即時経費化が可能

ここがフリーランス・個人事業主にとって非常に重要なポイントです。

「青色申告」を行っている場合、特例により30万円未満の資産であれば、その年に全額経費にすることが可能です。 (※年間合計300万円まで)

これを「少額減価償却資産の特例」と言います。

高性能なPC、iPad Pro、一眼レフカメラなど、実務で使用する主要な機材は10万円〜30万円の範囲に収まるケースが多いかと存じます。この制度は、節税の観点から非常に有効な手段となります。

「青色申告ってなに?」という方はこちらのコラムもおすすめです。

[フリーランス・個人事業主] 青色申告とは?3つのメリットと必要な手続きをわかりやすく解説!

【※注意点:申告時の記載について】

この特例を利用するためには、確定申告書(青色申告決算書)への記載が必要となります。確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付するという要件がありますので、申告の際は忘れずに対応しましょう。

[国税HP No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例]

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5408.htm

③ 30万円以上は「減価償却」(分割で経費計上)

30万円以上の高額な機材(例えばMac Proや業務用の大型機械など)を購入した場合は、上記の特例が適用されません。

この場合は、物品ごとの寿命(耐用年数)に応じて、数年に分けて経費計上を行います。これを「減価償却」と呼びます。

【代表的な耐用年数】

  • パソコン(PC): 4年
  • カメラ: 5年

例えば40万円のPCを購入した場合、耐用年数(4年)に応じて、毎年分割して10万円ずつ経費にしていくイメージとなります。

よくある質問:「一括償却資産」は利用すべき?

ご自身で調べていると「一括償却資産(20万円未満のものを3年間で均等償却する)」という処理方法を目にすることがあるかもしれません。

「この制度は使ったほうが有利ですか?」とご質問いただくことがありますが、 結論として、フリーランスの方が選択するケースは実務上ほとんどありません。

理由は以下の通りです。

  1. 一括償却のメリット: 「償却資産税」という税金の対象外になること
  2. 実務上の判断: 多くのフリーランスの方は、所有する償却資産の合計額が免税点(150万円)に満たないため、そもそも償却資産税がかからないケースが大半であること

つまり、あえて複雑な処理を選択しても、税金面でのメリットが乏しいと言えます。

結論: 青色申告であれば、30万円未満は「少額減価償却資産」として、購入した年に全額経費にするのが最もシンプルかつ効果的です。

まとめ|押さえておきたい3つのポイント

制度が少し複雑に感じられるかもしれませんが、基本的には以下の3点を押さえておけば問題ありません。

  1. 10万円未満 → その年に全額経費(消耗品費)
  2. 10万円〜30万円未満(青色申告) → 「少額減価償却資産」として、その年に全額経費 ※ただし、確定申告書への記載をお忘れなく
  3. 30万円以上 → 耐用年数(PCなら4年)に応じて分割して経費計上(減価償却)

「自分のケースではどのように処理するのが最適か知りたい」 「開業したばかりで、青色申告の手続きができているか不安」

そのようお悩みでしたら、ぜひ一度、清澄会計事務所にご相談ください。 江東区で活動する皆様の事業の発展を、税務の面からサポートいたします。

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