ものづくり補助金の採択率を上げるには?採択率を上げるおすすめの加点項目をわかりやすく解説(2023年版)

こんにちは。公認会計士・税理士の中明です。中小企業が利用できる大型補助金として人気な「ものづくり補助金」ですが、ものづくり補助金の採択率を上げるにはどうしたらいいか?加点項目があると聞いたがどのようなものがあるのか?といったお悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。

今回はものづくり補助金の採択率を上げるためには?というお題で、加点項目がどれくらい採択率に影響があるのかと、おすすめの加点項目について解説していこうと思います。

目次

①そもそもものづくり補助金とは?

②加点項目とは?

③加点項目の数と採択率(加点項目はいくつ取っておけばいいのか)

④加点項目の中でおすすめの項目

⑤まとめ

①そもそもものづくり補助金とは?

中小企業が新商品(試作品)の開発、新たな生産方式の導入等のための設備投資等を行う際に利用できる補助金です。また「ものづくり」という名称ですが、製造業以外でも幅広い業種で申し込むことができます。

ものづくり補助金の概要については、こちらのコラムでわかりやすく解説しています。

特に最近は、ソフトウェアやアプリ開発等でも利用する方も増えており、様々な業種で利用できる補助金といえるでしょう。

アプリ開発やソフトウェア開発でものづくり補助金の利用を考えている方は、こちらもコラムも参考にしてください。

②加点項目とは?

ものづくり補助金には審査において加点項目がいくつか用意されており、これらをみたすことで審査上加点を受けることができます。

ここでは、申請される方の多い、通常枠の場合の加点項目を記載しています。なお、2023年から加点項目が追加されています。

加点要素の一覧(通常枠の場合)

・成長性加点:

 ① 有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者

・政策加点:

 ②-1 創業・第二創業後間もない事業者(創業5年以内の事業者)

 ②-2 パートナーシップ構築宣言を行っている事業者

 ②-3 再生事業者

 ②-5 健康経営優良法人に認定された事業者(2023年より新設)

 ②-6 J-Startup、J-Startup 地域版に認定された事業者(2023年より新設)

 なお、②-4はデジタル枠が対象のため、こちらでは省略しています。

・災害等加点:

 ③ 事業継続力強化計画の認定を取得した事業者

・賃上げ加点:

 ④ 給与支給総額を一定以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+α以上の水準にする事業者

たとえば、②-1創業・第二創業後間もない事業者(創業5年以内の事業者)の加点項目は「履歴事項全部証明書」を用意するだけでよいので、開業間もない方は必ず用意しておきたいですね。

③加点項目の数と採択率(加点項目はいくつ取っておけばいいのか)

加点項目の数と採択率の関係についてみていきます。

下表は公式HPに記載のものですが、こちらでわかる通り、加点項目の数が増えるにしたがって採択率も上昇しています。申請者全体としては、加点項目を2個用意する申請者が多く、加点項目なしの場合の採択率が29.4%であるのに対して、加点項目2個の場合は採択率が63.9%と倍以上の差があることがわかります。加点項目が採択率に大きな影響があることがお分かりいただけると思います。

全体的な傾向からいえば、少なくとも2個は加点項目を用意して申請するのがよいといえるでしょう。

また2023年から加点項目が新設されています(上記政策加点の②-5と6)が、こちらは「健康経営優良法人」や「J-Startup、J-Startup 地域版」等の認定を受けている必要があります。認定の難易度は高めなため、筆者は2023年以降についても加点項目数は大きく変更がないのではと分析しています。こちらの分析は情報が更新され次第、反映していきます。

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https://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html

なお、加点項目によってはその準備に日数がかかる項目もありますので、補助金申請までに時間に余裕をもって準備をしておく必要があります。

④加点項目の中でおすすめの項目

さて、加点項目を取りに行くことが採択率を上げるうえで重要であることが分かったところで、次にいくつかある加点項目のうちおすすめのものについて紹介したいと思います。

災害等加点③「(連携)事業継続力強化計画認定書」

私が特におすすめする加点項目は、災害等加点の「(連携)事業継続力強化計画認定書」です。

この事業継続力強化計画とは、主に中小企業等の防災・減災のための事前対策に関する計画です。地震等の自然災害に対してどのように事前対策をするかの計画を立て、それについて認定を受けることになります。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.htm

実際の申請内容については、公式サイトをご確認ください。また補助金申請のサポートを行っている機関によっては、こちらの申請もサポートしている場合があります。サポートを依頼する場合はサービスの内容に含まれているか確認してみてもよいでしょう。

認定までの期間は?

認定までの期間は45日程度をされており、またものづくり補助金で加点項目となるには、申請のみではなく「認定」を受けている必要がありますので、ある程度補助金申請まで余裕をみて準備をしておく必要があります。

また申請にあたっては、gBizIDアカウントを取得しておく必要があります。こちらはもの補助の申請にも使用するアカウントですが、こちらの取得に2週間程度かかります。

そのため、gBizIDアカウントを持っていない場合は、①gBizIDアカウントの取得(2週間)~②事業継続力強化計画の申請:認定(6~7週間)で、約2か月かかことになります。早めの準備が肝心となります。

なお、事業継続力強化計画の認定については、実際にサポートした例では2週間程度で認定を受けられたものもありますので申請の締め切りに間に合うかぎりぎりの場合も出してみてもいいかもしれません。

政策加点②-1:創業・第二創業後間もない事業者(創業5年以内の事業者)

また会社設立後5年以内で申請を行う場合は忘れずに政策加点を取りに行くようにしましょう。対象となるのは、会社成立の年月日(個人事業主の場合は開業日)又は代表取締役の就任日が公募開始日より5年前の日から応募締め切り日までの場合とされています。わかりやすく言えば、会社設立日が補助金の公募が開始になった日からさかのぼって5年以内であれば創業加点(政策加点)を受けれるということです。

また提出資料としては、個人事業主は「開業届」、法人は「履歴事項全部証明書」です。比較的容易に準備できる資料ではありますが、特に履歴事項全部証明書は用意するまで少々時間がかかる場合もあるので余裕をもって準備しましょう。

政策加点②-2 :パートナーシップ構築宣言を行っている事業者

パートナーシップ構築宣言とは、簡単に言えば、仕入先などの取引先と良い関係を築きながらビジネスを行うことを宣言するものです。こちらは比較的申請も容易なのでおすすめな加点項目となっています。概要や申請方法についてはこちらのコラムでわかりやすく解説しております。

⑤まとめ

今回は、ものづくり補助金の加点項目について解説してきました。加点項目が多いほど採択率は上げる傾向にあるので、用意できる項目についてはしっかりと用意して申請に臨みたいですね。申請者全体の傾向および採択率から、加点項目は少なくとも2個以上確保しておくことをおすすめします。

不採択の場合は次回申請分に申し込むことができるので、加点項目の準備が申請に間に合わない場合でも次回申請を見越して準備をしておく、というのも一つの手ではあると思います。

また加点項目の中では政策加点(創業加点)、災害等加点(事業継続力強化計画)がおすすめです。

清澄会計事務所では、加点項目を含めて補助金申請を全面サポートしております。補助金申請に興味をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

次回は事業継続力強化計画の申請について解説していこうと思います。