支払調書が届かない・合わない時は?フリーランスの確定申告と青色申告の注意点を税理士が解説
こんにちは。江東区で税理士をしている中明(なかあき)です。
江東区は、IT・デザイン・コンサルティングなど、フリーランス(個人事業主)として活躍されている方が非常に多いエリアです。
確定申告の時期が近づくと、お客様からこのようなご質問をよくいただきます。
「支払調書が届いたんですけど、これをそのまま申告書に転記すればいいんですよね?」
会社員時代の「源泉徴収票」と同じ感覚で、支払調書を「確定申告の正解データ」だと思われている方は少なくありません。 しかし、実はこの理解が、支払調書が届かずに不安になったり、確定申告を誤ってしまったりする原因になることもあります。
今回は、フリーランスの方が確定申告で支払調書をどう扱えばよいのか、
「届かないときはどうする?」「自分の売上管理と金額が合わないのはなぜ?」「そもそも税務署への提出は必要?」
という視点に絞って、実務的なポイントを解説します。 このコラムを参考に、自信を持って確定申告の準備を進めていきましょう。
目次
1. 支払調書とは?源泉徴収票との決定的な違い
支払調書とは、簡単にいうと会社(発注者)が「誰に・どんな仕事で・年間いくら支払ったか」を税務署へ報告するための書類です。
フリーランスの方の場合、業務委託契約で仕事をしていると、年明けごろに取引先から支払調書が送られてくることがあります。

[国税HP F1-3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)]
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/23100038.htm
雇用契約と業務委託契約の違いに注意
よくある間違いが、契約形態の勘違いです。
会社と雇用契約(アルバイト・パート含む)の場合
→ 「源泉徴収票」が交付されます。これは確定申告(または年末調整)の基礎資料となります。
会社と業務委託契約の場合
→ 「支払調書」の対象となります。
最初に仕事を受けたときに契約書を交わしている場合は、一度タイトルや中身を確認してみましょう。「雇用だと思っていたのに支払調書が届いた(=実は業務委託だった)」というケースは珍しくありません。 契約の認識がズレていると、確定申告の種類や社会保険の扱いにも影響しますので注意が必要です。
【ワンポイント】確定申告書への「添付」は不要です
以前は確定申告書に支払調書を添付する習慣がありましたが、現在の制度では税務署への提出(添付)義務はありません。 支払調書はあくまで「自分の計算が合っているか確認するための参考資料」という位置づけです。
2. 支払調書が届かない!これって法律違反?
業務委託で働くフリーランスの方から、「〇〇社から支払調書が届かないのですが、どうすればいいですか?」という相談をよく受けます。
結論から言うと、支払調書が届かなくても問題ありません。
フリーランス本人への発行は会社の義務ではありません
支払調書は、あくまで「会社が税務署へ提出するための書類」です。 フリーランス本人へ交付することは、法律上の義務ではありません。
実務上は、親切な会社が「確認用」として送ってくれるケースが多いですが、「届かない=おかしい」というわけではないのです。 どうしても必要な場合は取引先へ相談してみても良いですが、基本的には「届かないケースも珍しくない」くらいに思っておいて大丈夫です。
支払調書がなくても確定申告はできます
支払調書が手元になくても、確定申告は可能です。 確定申告は、
・発行した請求書
・通帳の入金記録
・自分でつけた帳簿
など、自分で把握している売上金額をもとに作成するのが原則だからです。
3. 一番の悩みどころ!「支払調書と売上が合わない」原因
「支払調書に書かれている金額と、自分の帳簿上の売上が合わないのですが……」 このご相談も非常に多いですが、多くの場合、計算のタイミング(基準)が違うことが原因であり、ミスではありません。
青色申告では重要!「発生主義」と「現金主義」のズレ
ここで重要になるのが、「青色申告」のルールです。 節税メリットの大きい青色申告(特に最大65万円の特別控除)を受けるためには、売上を「発生主義(仕事が完了・納品した時点)」で記帳することが要件となっています。
一方で、送られてくる支払調書は、会社側の処理によって「現金主義(実際に支払った金額)」で作成されているケースが多々あります。
【よくあるズレの例】
状況: 12月に仕事を完了・請求し、翌年1月に入金された。
あなたの確定申告(青色申告・発生主義): 「12月」の売上として今年の申告に含める必要があります。
相手からの支払調書(現金主義): 実際に払ったのは翌年なので、今回の調書には載っていない(または金額が少ない)ことがあります。
このように、「金額が合わない=どちらかが間違っている」とは限りません。 もし金額がズレていた場合、基本的には支払調書の内容に合わせるのではなく、青色申告の要件を守るためにも「自分の帳簿(いつ仕事をして請求したか)」を正として申告を行ってください。
もちろん、現金主義で計算してしまったからといって、即座に青色申告が取り消されるわけではありません。 しかし、そのままでは65万円控除の要件を満たせなくなったり、税務署から正しい記帳指導が入ったりする可能性があります。
「なんとなく支払調書に合わせる」のではなく、本来のルールである発生主義で記帳しておくことが、結果として自分を守り、正しい節税メリットを受けることにつながります。 ズレが生じている場合は、自信を持って「自分の帳簿(いつ仕事をして請求したか)」を正として申告を行ってください。
▼そもそも青色申告って?という方へ
「青色申告のメリットや手続きについて、基礎から知りたい」という方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。青色申告の基礎知識や、節税メリットについて詳しく解説しています。
[フリーランス・個人事業主] 青色申告とは?3つのメリットと必要な手続きをわかりやすく解説!
4.まとめ|支払調書は「参考資料」として使いましょう
支払調書に関するポイントを整理します。
確定申告への添付は不要(参考資料という位置づけ)
届かなくても問題ない(自分の帳簿があれば申告できる)
売上金額が合わないこともある(青色申告なら自分の帳簿を優先)
支払調書が届くと「これに合わせなきゃ」と焦ってしまうかもしれませんが、あくまで大切なのはご自身での日々の帳簿・請求管理です。支払調書に振り回されず、自分の数字を信じて申告を行いましょう。
江東区で確定申告に不安のあるフリーランスの方へ
「支払調書と自分の売上のズレがどうしても解消できない」 「初めての青色申告で、帳簿の付け方が合っているか不安」
このようにお困りの際は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。 当事務所では、江東区を中心としたフリーランス・個人事業主様の確定申告をサポートしております。お気軽にご相談ください。
▼インボイス制度についても不安な方へ
支払調書と並んで、フリーランスの方からよくご相談いただくのが「インボイス制度」です。 特に2026年以降の変更点について、多くのフリーランスの方が気にされています。こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください
【2026年10月から変更】インボイス登録は必要?フリーランス・個人事業主が考えるべき3つのポイントについて解説
なお、本記事は、フリーランス・個人事業主の方向けに、税務の仕組みを分かりやすく解説しています。そのため、厳密な法律用語とは一部表現が異なる場合があります。個別の税務判断については、専門家へご確認ください。
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