【江東区】美容室・サロンの開業の流れとやること一覧(前編)|資金・物件編
こんにちは。江東区で税理士をしている中明(なかあき)です。
門前仲町や亀戸、豊洲エリアを中心に、美容室・サロンの開業は毎年多く見られます。美容室はもちろん、ネイルやマツエク、リラクゼーションサロンなど業態も多様です。
一方で、「内装費にどのくらいかけてよいのかわからない」「融資などの用意をしたいが、流れがよくわからなくて不安」という声も多く聞きます。
このコラムでは、美容室・サロンの開業を決めてからオープンするまでの流れを、実務で見てきた経験をもとに解説します。美容室・ヘアサロン・ネイルサロン・マツエクサロン・リラクゼーションサロンなど、業態を問わず使えるチェックリストとしてもご活用ください。
前編では開業を決めてから物件契約までに何を、いつやるのかを解説します。まずは開業までの全体像をスケジュール表で確認してみましょう。
| 項目 | 1年〜半年前 | 半年〜3か月前 | 3か月〜2週間前 | 2週間前〜 オープン前日 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| コンセプト ・集客 | ・コンセプトづくり (ターゲット・客単価・立地の方向性) | ・メニューや営業時間、集客方法の具体化 | ・SNS・ホットペッパービューティー・Googleマップなど準備 ・プレオープンの準備・告知 | ・プレオープン実施 ・結果振り返り ・Googleマップ公開 | ・副業か専業かなど ・資金繰りシミュレーターもおすすめ ・ホットペッパービューティーやGoogleマップ登録は反映まで時間がかかるので早めに準備を |
| 資金・計画 | ・事業計画書の作成 (江東区役所の創業相談も活用) ・創業融資の準備・金融機関へ相談 (公庫・ひがしん等) | ・創業融資面談 | ・審査結果通知・申込 | ・資金繰り見直し・最終チェック | ・融資審査は1〜2か月(自分でやると平均3か月とも) ・運転資金は3〜6か月分確保したい ・内装の追加工事や遅延がある場合は資金繰りを見直す |
| 物件 | ・不動産屋へ相談・店舗探し | ・店舗契約・内装業者選定 | ・水道・ガス・電気・ネット回線などの申込 | — | ・居抜き+軽い内装工事でスモールスタート推奨 ・スケルトンは解体コストにも注意(数百万円規模も) ・融資承認後に本契約が理想。ただし良い物件は早い者勝ちのため融資審査と並行して動くことも多い |
| 機器・什器 | — | ・美容機器や美容ディーラーなどの見積もり・選定 | ・美容機器・什器準備 ・POSレジ・キャッシュレス決済導入 | ・シャンプー・カラー剤等の材料・消耗品の調達 | ・レジ回りはオープン前の試運転を忘れずに |
| 行政手続き | — | ・保健所(東陽町)へ事前相談 ※着工前に必ず | ・美容所登録 ・開業届・青色申告承認申請書 | ・各種許可証の受け取り確認 | ・美容所登録は営業開始の10日前までが一般的 ・常時2名以上の美容師が勤務する場合は管理美容師も必要 ・税務署は管轄に注意(江東西・住吉 or 江東東・亀戸) ・消防署への届出は内装業者に相談 ・サラリーマンからの開業は国保・国民年金の切替も |
| 税務・経理 | — | ・税理士への相談 | ・事業用口座・クレジットカード開設 | ・売上や現金などの管理方法の確認・整備 | ・税理士には簡単でよいので早めに相談を ・口座は必ずプライベートと分ける |
| 採用・研修 (※該当者のみ) | — | ・スタッフ採用 | ・研修・オペレーションテスト | ・シフト最終確認 | ・雇用する場合は税務署・労基(亀戸)・ハロワ(木場)への届出も必要 |
※上記はあくまで参考・目安です。状況によって手続きの内容やスケジュールは異なります。行政手続きや社会保険等については、必要に応じて行政書士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。記載の機関情報は変更となる場合があります。最新情報は各機関へご確認ください。
目次
1-1. 【1年〜半年前】ターゲット・客単価・立地の方向性を決める
1. コンセプト・集客
1-1. 【1年〜半年前】ターゲット・客単価・立地の方向性を決める
開業準備でまず最初にすることは「どんな人向け、どんなサービスを、いくらで提供するか」というコンセプトづくりです。
ここが曖昧なまま準備を始めると、コンセプトと立地がミスマッチになったり、後から軌道修正が難しくなります。
コンセプトや業態は、ターゲットのお客が、どんなタイミングで来てくれそうかという切り口で考えてみるとよいでしょう。
- 美容室・ヘアサロンなら、主婦・ファミリー層が多い木場・東陽町・砂町エリアや、単価を取りやすい豊洲など
- ネイルサロン・まつエクサロンなら、OL・会社員層の需要が高い門前仲町や亀戸など
- リラクゼーションサロンなら、オフィス需要のある東陽町・豊洲、または住宅街の地域密着型
また、一人サロンとして完全予約制でスタートするか、最初からスタッフを雇うかによっても、必要な物件の広さや初期費用が大きく変わりますので、しっかりと方向性を決めましょう。
また、この段階で一度、生活するにはいくら売上が必要なのか、資金繰りのシミュレーションをしておくことをおすすめします。
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美容師からの独立では、雇用→業務委託→面貸しというステップを経てから自分の店舗を持つルートも一般的です。面貸しの段階では店舗を持たずに済むので、初期費用を抑えながらノウハウを見て学べるメリットがあります(なお、顧客やスタッフの引き抜きはお店との関係でトラブルになりやすいので注意しましょう)。自分の店舗を持つタイミングは、開業後のイメージを具体的にわいて、ある程度の指名客がついてからでも遅くありません。
1-2. 【3か月前までに着手】集客媒体の準備は早めに
開業後に集客で苦労するオーナーの多くが、忙しくてオープン直前まで集客の準備を後回しにしています。
美容室・サロン系ではホットペッパービューティーへの掲載を検討する方も多いですが、掲載審査や初回掲載の準備に1〜2か月かかるケースもあります。オープンと同時に掲載をスタートさせたい場合は、3か月前には準備を始めておくのが安全です。
SNS(Instagram等)やGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)も、登録から反映まで時間がかかることがあります。こちらもオープンの3か月前には準備を始めておくのが理想です。
2. 資金・事業計画
2-1. 【1年〜半年前】事業計画書の作成
創業融資を受けるには事業計画書の作成が必要です。売上予測・経費・必要資金・返済計画などを数字で示す必要があります。
事業計画についてまだイメージがわかない人は、区役所の窓口で創業相談を無料で受けることができますので、まずは相談してみるとよいでしょう。
[江東区HP 創業支援のご案内]
https://www.city.koto.lg.jp/102010/sangyoshigoto/sougyou/sougyou.html
2-2. 【半年〜3か月前】創業融資の相談・申込
美容室・サロンの開業資金の調達先として最も一般的なのが日本政策金融公庫の創業融資です。融資額は自己資金の約2〜3倍が目安なので、しっかりと独立資金を貯めておきましょう。また、審査には平均1〜2か月かかります。
特に注意したいのが内装費です。近年は資材や人件費の高騰もあり、都内ではスケルトン物件からの工事で坪単価30〜60万円になることも珍しくありません。10坪の小さなサロンでも、内装工事だけで300〜600万円規模になることがあります(居抜き物件をうまく活用できれば坪単価20〜50万円程度に抑えやすくなります)。
さらに気をつけたいのは、この内装費には美容機器(シャンプー台やセット面など)が含まれていないケースが多いことです。設備費を含めると総額が想定以上に膨らみがちなため、物件探しの段階から早めに複数社から見積もりを取り、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
東京東信用金庫(ひがしん)も、地元の創業者向けに積極的に融資を行っています。
創業融資の基礎知識① 創業をお考えの方必見!創業融資は2種類ある!
2-3. 開業前に知っておきたい「資金繰りの落とし穴」
私が税理士として開業相談を受けてきた中であった、開業前後に資金繰りで苦労するケースをいくつか紹介します。
①内装・設備費の見積もりが甘い
美容室はシャンプー台の給排水工事、セット面の鏡・チェアなど、業種特有の設備費が高額になりやすい業態です。内装工事だけでなくこれらの設備費も含めて、早めに複数社から見積もりを取ることが重要です。相見積もりを取らずに進めると、融資を受けても運転資金がほとんど残らないという状況になりかねません。
②フランチャイズ加盟の初期費用を甘く見る
FC加盟を選択した場合、数百万単位の加盟金を支払うことになります。しかし、加盟金は一括で経費にならず、数年かけての償却になるため、お金が減っても税金はそこまで減らず、手元資金が想像以上に減ります。また毎月のロイヤリティは売上比例で発生するケースが多いため、利益が出なくても支払いが続きます。FC加盟にはこのようなメリット・デメリットがいくつかありますので、後編で詳しく解説します。
③運転資金が少なすぎる
美容室・サロンは家賃・リース料・材料費・集客媒体の掲載料など、固定費が毎月一定額出ていくビジネスです。開業直後は売上が安定しないため、運転資金は3か月分を最低ライン、5か月分あると安心です。
④融資が降りる前に物件・内装を進めてしまう
「よい物件が見つかったから先に契約してしまった」というお話はよく聞きます。ただしこの場合、融資の審査中に家賃や内装工事費が先行して発生し、融資が降りた時点ですでに手元資金が底をつきかけているという状況になりかねません。融資の見通しが立ってから本契約に進むのが理想的です。
ワンポイント:融資と物件契約のタイミング
融資承認後に本契約するのが理想ですが、現実には良い物件は早い者勝ちのため、審査中から物件探しを並行して進めることも多いです。できれば融資前は仮申込などにとどめ、正式契約は融資の見通しが立ってから進める、もしくは自己資金を厚めに確保しておくのが安全です。
3. 物件探し
3-1. 【半年〜3か月前に検討】居抜きvsスケルトン
美容室・サロンの物件選びで最初に考えるべきは、「居抜き物件かスケルトン物件か」です。個人的には、初めての開業であれば、まずは給排水設備のある居抜き物件でスモールスタートするのが資金繰りの観点からおすすめです。
居抜き物件
前テナントの内装・設備がそのまま残っている物件。特にシャンプー台の給排水設備がそのまま使える美容室居抜きは初期投資を大幅に抑えられます。ただし前テナントのイメージが残る場合や、設備の老朽化には注意が必要です。
スケルトン物件
内装がない状態の物件。自由に設計できる反面、給排水工事を含む内装工事費が大きくなりやすいです。また退去時の原状回復コストも発生するため、撤退時のリスクも把握した上で契約を進めましょう。
4. まとめ
前編では、コンセプト・資金計画・物件という開業の土台となる3つのテーマを解説しました。まずはスケジュール表を見ながら、このタイミングでこれをするんだな、とイメージしてみるとよいでしょう。
また、美容室・サロンの開業では特に内装・設備費が想定以上に膨らみやすいため、早めに見積もりを取り、資金計画に余裕を持たせておくことが重要です。資金繰りシミュレーター等を活用して、必要な売上の目安を確認してみてください。
▼ 後編はこちら:【江東区】美容室・サロンの開業の流れとやること一覧(後編)|手続き・税務・FC加盟等
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